HOME > 中小企業の法的問題への処方箋


「セクハラやパワハラ」「残業代」「会社業績不振による整理解雇」など、従業員を雇用している限り、中小企業には、従業員にまつわる問題=「労働問題」が常に発生する可能性があります。 以下、中小企業でよく見られる「労働問題」をQ&A形式で解説しています。 各Qをクリックすると、その解説ページに移動します。
セクハラ・パワハラがあったとして、当社あてに従業員の代理人弁護士から通知が届きました。どうしたらよいでしょうか?
まず企業側が真っ先にするべきは、セクハラ・パワハラが本当にあったのか否かを確認することです。 具体的には、客観的な立場の人が社内の関係者にヒアリングするなどし、その結果事実とわかれば、セクハラ・パワハラをした当人に対し、何らかの処分を行わなければなりません。 また、会社にも責任があるとされ、従業員への損害賠償請求に応じなければならない可能性も出てきます。
ところで、貴社にはセクハラ・パワハラに関する対応マニュアルはありますか? これは、ハラスメントの定義・具体例・苦情申出先・調査方法等を定めたものです。 中小企業にはまだまだこうした指針づくりに取り組んでいるところは少ないと思いますが、問題が起きてからの対応では、どうしても時間がかかりがちです。問題が起きる前に用意しておきましょう。
退職した元従業員から、在職時の残業手当を一括して請求されてしまいました。どのように対応したらよいでしょうか?
従業員からの残業代請求は、通常「2年で時効」となります。 ですので、退職直後ですと退職前2年分の残業代の請求を受けることになります。
もし、貴社の就業規則に「残業代は給与に上乗せして毎月定額を支払う」などの規定があったとしても、そもそもこの規定自体が「労働基準法」に違反するので、改めて計算し直した残業代を支払わなければなりません。
また、役職者(部長・課長など)については、管理職であるからとして、残業代の支払い対象者から除く会社もみられますが、職務の実態からみて管理職とは言えないような場合、いわゆる「名ばかり管理職」とされて、改めて残業代の請求を受ける場合もあります。
貴社の就業規則や残業代の支払い方法は、最新の労働基準法に則っていますか? ご不安な場合は、労働問題や残業代問題に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。
当社は従業員9名のメーカーです。 就業規則はなく、残業代は給料に上乗せして一定額を払っていますが、時間により計算したものではあ りません。 このような支払方法で問題はありませんでしょうか。
従業員が1人しかいない会社であっても、残業させるためには、労使の協定、いわゆる「36(サブロク) 協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
また「労働基準法」では、従業員の残業代は「発生した時間により計算して支払」わなければなりませ ん。
よくこれに反して、就業規則の給与規定のなかに「残業代分として毎月一定額を給与に上乗せして支払 う」という規定をおいて、「どんなに残業時間が長くても支払われる金額は一定」という会社も見受け られます。 また「ウチは年俸制だから残業代の支払いは要らない」という経営者もいらっしゃいます。
しかし、これらはいずれも「労働基準法違反」となります。 残業代は、あくまで残業時間に応じた金額を支払わなければなりません。 ですので、上記のような就業規則は改定が必要です。
なお、従業員が10人未満の会社には、就業規則の作成義務はありませんが、作成しておいた方がトラブ ル防止にもなりますので作成することをお勧めします。
当社の役員が突然会社を辞め、同業の新会社を設立しました。その上、当社の顧客まで奪おうとしてい ます。 どう対処したらよいのでしょうか?
会社の役員には、「役員である限り自社と競業する業務を行ってはならない」という義務があります( 【競業避止義務】といいます)。辞める前から新会社を準備していたのであれば、この役員には【競業 避止義務違反】を理由に、損害賠償請求できることになります。一度弁護士に相談してみましょう。
社内や取引先で頻繁にトラブルを起こす従業員がいます。何度も注意していますが反省がみられません 。何とか辞めさせる方法はありますか?本人の成績は中の下です。
日本の雇用慣行では、従業員を辞めさせるのはたいへん難しいものです。 まず、会社が解雇するには、解雇が相当とされる理由がなければなりませんが、そのハードルは、一般 に考えられる以上に高いといえます。 このような問題社員の場合でも、引き起こすトラブルが会社の事業に支障をきたしているなどの深刻な ケースで、しかも配置転換などの他の穏便な手段を講じることができないような場合でないと難しいで しょう。
つまり「多少の問題社員」であっても、一方的な解雇は大きなリスクをはらんでいるのです。 そこで、最初から解雇することを考えるよりも、まずは本人と話し合い、自発的な退職を求めるべきで しょう。それでも退職してもらえなければ解雇となりますが、その場合には、弁護士ら専門家のアドバ イスを受けてから解雇するようにして下さい。
会社の業績が非常に悪く、このままでは従業員の解雇もやむを得ない状況です。 トラブルを起こさずに従業員を解雇するにはどうすればよいのでしょうか?
解雇というのは、相手方(従業員)に合意がなく辞めさせることになるのですから、トラブルが起きやすいことは当然です。 ですので、従業員を説得して辞めてもらうというのが、あくまでも原則になります。
会社の業績が悪いことに伴う余剰人員の解雇、すなわち「整理解雇」については、以下の点に注意して下さい。 整理解雇が許されるためには、以下の4つの要件が必要になります。 (1)解雇の必要性があること (2)配置転換・出向などの相当な経営努力がなされた上でのことであること (3)解雇される人の選定基準が合理的であること (4)解雇手続きが、十分な説得や協議等を経たうえでのものであるこ 以上の要件のひとつでも欠いてしまうと、解雇が無効であるとしてトラブルが発生しやすいです。
この点、十分な注意が必要ですから、整理解雇するときは、労働問題に詳しい弁護士などのアドバイスを受けるようにしましょう。